解体工事を検討し始めると、まず気になるのは費用面という方は多いでしょう。
解体工事の費用相場や内訳を知るには、まず工事の全体的な流れから知るとスムーズです。今回はまず工事の流れについて把握し、それから費用相場・内訳についても見ていきましょう。
解体工事の流れ
まず解体工事はどんなふうに進んでいくのでしょうか?全体的な流れをおさえていきましょう。
業者選びから工事前の準備まで
良い業者に出会う
解体工事の成功は、良い業者に出会うことにかかっています。初めから一社に絞ろうとはせず、まずは広く情報を集め希望に叶う会社を複数社ピックアップしてみましょう。
業者選びの本番は、現地調査と見積をお願いすることからです。きちんと現地調査を行い、実際の現場の様子を見てもらってから見積を出してもらって、金額の妥当性や内訳について細かく説明を受けましょう。
見積をどれだけ丁寧に、細かく行ってくれるかで、業者の信頼度が見抜けるといっても過言ではありません。また、現地調査の際には業者のスタッフと顔を合わせることにもなるでしょうから、対応や人柄までしっかり見極めておきたいところです。
契約を交わす際にはきちんと書面で
見積の内容・スタッフの言動や対応などの総合的な判断から、工事を依頼する業者を一社絞り、契約を交わします。
契約の内容は、必ず書面として作成してもらい、口頭で説明を受けたこともすべて載せてもらうことで、のちのちのトラブルを大幅に防ぐことができます。ここを怠る業者にはまかせないほうがいいほどです。見積書・契約書などは確実に書面で交わすこと。業者選びにおいても、工事の今後の流れにおいても、重要なポイントです。
工事前の準備
工事を依頼する業者を決めたら、工事のために施主が行うべき準備を始めましょう。まず、施主と業者がそろって近隣に挨拶まわりに行きます。工事の内容やスケジュールを話し、理解を得ます。
近隣挨拶を行うか行わないかで、のちのちのトラブルが起きる可能性に大きな影響が出るのです。解体工事はただでさえ周囲に迷惑をかけ、危険を感じさせてしまうものです。挨拶をしてあらかじめ直接話をしておくことで、近隣住民にはだいぶ好意的な気持ちになってもらえるでしょう。
それから、仮住まいへの引越し準備を始めます。これまで住んでいた家屋はなくなってしまうので、建物の中には何も残しておけません。必要なものはもちろん、不用品の処分までしっかり済ませてしまいます。
ライフラインを止める手続きも忘れずに。電気やガス、インターネットなどは業者に連絡して、指示通りに手続きをしましょう。水道は工事中にも必要になることが多いため、とめるかどうかを解体業者に確認します。
これで晴れて解体工事に突入です。
解体工事中
工事中に施主としてすべきことはほとんどありませんが、工事が安全かつスムーズに進んでいるかについては、気にしておきましょう。
工事自体は、足場や養生の設置から始まります。内装の解体・外構などの撤去から手をつけ、建物全体の解体に移っていきます。基礎の解体まで終えたら、コンクリートガラや木片などをきれいに清掃し、整地作業を行います。
このとき、地中埋設物がないかどうかの確認も行います。
工事で出た廃棄物をしっかり分別し、それぞれの処理場に運搬して、工事の工程は完了です。
解体工事後
工事後は、「建物滅失登記」といって、「登記しているこの建物を失くしました」という届け出が必要になります。解体業者や土地家屋調査士に頼んでもいいのですが、自分で行うことも可能で、難しい手続きではないのに費用もかからないためおすすめです。
解体工事のおおまかな流れは、このような項目で挙げられます。イメージは湧いたでしょうか。
次項では、この流れに沿って解体工事の費用相場も見ていきましょう。
費用相場と内訳
解体工事の費用相場を、内訳から見ていきましょう。
建物解体費
解体工事にかかる費用のうち、全体の7~8割を占めるといわれているのが、この「建物解体費」と次項で説明する「廃棄物処理費」です。どちらも解体工事においての作業のメインともいえる部分です。
建物解体費とは、その名の通り「建物本体を解体する費用」であり、これは建物の構造と広さによっておおよその目安金額を計算することができます。
構造による坪単価の目安は、
・木造:3~5万円/坪
・鉄骨造:5~7万円/坪
・RC(鉄筋コンクリート)造:6~8万円/坪
といわれています。これは地域などによって差や変動がありますが、大体これぐらいだと思っておきましょう。
この坪単価に広さ(坪数)をかけると、建物全体の解体費用の目安が計算できます。
たとえば30坪の建物であれば、木造なら90万~150万円ということになりますね。
廃棄物処理費
解体工事で出る大量のコンクリートガラや木片、瓦などはすべてきちんと分別されたうえで、処分場へと運搬されることになります。
一昔前はまとめて廃棄処理されていましたが、建設リサイクル法などの法令整備で近年はきっちりリサイクルされることになっており、その分廃棄物処理の作業にも多大な手間が生じます。重機などで一気に解体する前に手壊し作業が必要になるのは、「手作業できちんと分別を行ってからの解体」という意味もあるのです。
整地費用
建物の解体がすべて終わったら、散乱したコンクリートガラや木片などのごみを清掃し、荒れた土地をならして整地する作業があります。
このとき、土地を売却したり、新築工事をしたりする予定があれば、地盤調査や地盤改良を行うこともあるので、その場合に発生する費用もこの整地費用に含まれます。
地盤調査とは、その土地の大きさや形、地盤の状態などを専門家が調べるものです。地盤が弱いと耐震性にも影響してくるため、さらに費用をかけて土を固めたり柱を埋めたりする「地盤改良」を行うこともあるのです。
重機回送費
解体工事で使用する重機類は自走できないものが多いため、トレーラーやトラックなどに載せて現場まで運搬されます。このときにかかる経費を重機回送費といいます。運搬するトレーラーやトラックのガソリン代や、解体業者が重機を自社保有していない場合は重機のレンタル代も、ここに含まれます。
また、業者によっては廃棄物を処理場に運搬する際の費用もここにカウントしている場合があります。
付帯工事費用
建物本体の解体以外の工事…たとえば外構の撤去や庭の除去などを、まとめて付帯工事といいます。これにかかる費用が付帯工事費用です。
付帯工事費用は、金額の大小が施主によってもっとも差がある部分といえるでしょう。まったくかからない人もいれば、なかなかの金額になる人もいます。
追加費用が発生する場合とは
このほかにも、思いもよらないところで追加費用が発生する場合もあります。建物を撤去したあとに地中埋設物が見つかったとか、工事中にアスベスト含有が発覚し、除去しなければならなくなったとか、そういった想定外の事態は見積時の金額には載せられないため、追加費用という項目で現れることになります。
これはある程度仕方のないことなので、業者とは追加費用の発生の扱いについてあらかじめ話し合っておくといいでしょう。
まとめ
解体工事は業者の選定から始まって、契約が成立したあと実際工事が始まるまでにも施主が行う準備は多いものです。工事中の費用内訳は本文中で大体解説しましたが、準備段階でも「引越し費用」や「不用品の処理代」などこまごまとしたものがかかってくるでしょう。
建物解体費だけではない、ということがおわかりいただけたでしょうか。
費用の内訳や相場をしっかり把握して、解体工事を成功させたいですね。